ふりそでchicの振袖は、創業107年、新潟県十日町にて県内でも稀にみる広大な敷地内の工房でつくられています。
ハンドメイドの職人技でつくられた振袖ができるまでを、代表の関口がわかりやすく紹介しますね。
多くの専門職人たちの技術の結集
実は着物は1人ですべてつくっているのではなく、多くの専門職人たちの技術の結集なんです。
振袖ができるまで…をイメージすると私は家ができるまでをイメージします。
設計図を描く設計士さん、設計図をもとに作業をする大工さん、壁を塗る職人さん、ペンキを塗る職人さん、電気工事を専門にする人などなど…多くの人が家づくりにかかわっていますね。
それぞれの工程で専門性が必要です。
着物ができる制作工程も、家の価値を決める 「設計図」を描くまでの工程と、その「設計図」をもとに職人技で作業する工程に分けてイメージできます。
設計図を描くまでの工程
誰でも絵を描いた経験はありますね。
着物のデザインもその経験からイメージできます。
絵を描くとき、下書きをしますね。
この下書きを一般的に 「図案」 といいます。
下書きをした後、色をぬりますね。
当社では色を決めていく作業を 「配色」 とよんでいます。
着物の場合はこの色を決めていく作業が最も重要で、「配色」の良し悪しで着物の価値が決まるといっても過言ではありません。
当社の工房では多くの人が「配色」にたずさわっていて、家に例えて「設計」と呼んでいます。
下書きとなる図案
着物でいうと下書きが「図案」。
手描きなので、絵心が必要ですね。
着物の良し悪しが決まる配色
最も重要なのがこの色を決める作業「配色」。
このもととなる「色見本」は着物をつくっている各工房の歴史と財産です。
この色見本は保存されていて、染料を調合し、その色がいつでも出せる状態になっています。
配色作業は、107年の歴史で積み重ねられた膨大な色見本から、着物の模様一つ一つの色を選んで、当てはめていきます。
振袖のような複雑な模様だと色数も多くなるので、配色作業はとても大変です。
また当社の図案・配色には、昔からの手作業に加え最新技術を取り入れています。
AIが人間並みになれば、AIがデザインということもあるかもしれませんね…
まだまだ人がやらなければなりませんが…
最近は古くからある伝統的なデザインに加えて、流行も取り入れた「粋な」「上品な」「おしゃれな」デザインを取り入れています。
職人技で作業する工程…「熟練」「技術」
着物には5つの技法があります。
染め ・織り ・絞り(しぼり) ・刺繍(ししゅう)・箔(はく)
中でも当社の工房でメインの、染めと箔にフォーカスして紹介します。
熟練の技がなしえる染め
「染め」は大きな分類として、着物の模様を染める、模様以外の部分を染めるに分かれます。
・着物の模様を染める…友禅染め
着物の模様に色を付けていきますが、筆で色を付ける場合(手描き友禅)と型(かた)を使って色を付ける場合(型友禅)があります。
↓型(かた)
当社の工房では振袖がメインで、色を再現することが求められるため、型友禅が主に用いられています。
この型に粘り気のある染料を置いてヘラで色を付けたり…
ピース(きりふきのようなもの)でぼかし感をだしながら色を付けたり…
小さな鹿の刷毛(はけ)で刷るように色を付けたり…
ヘラで色を付けるのは簡単そうですが、ヘラに付ける染料の量が多すぎればムラになるし…
感覚でいうと壁塗り職人さんが、壁を平らに塗るむずかしさのようです。
経験がないとできない作業ですね。
この型を色がずれないようにあわせて置くのも手間がかかりますし、色ごとに型をつくらなければいけません。
特に模様が複雑で色数が多い振袖は型紙が数百に及ぶこともあり、大変な作業です。
このあと染めた模様の部分に糊(のり)をおいて染まらないようにして、模様以外の部分を染める工程に移ります。
・模様以外の部分を染める…引き染め
生地がゆるまないように細い竹の棒を裏にはってからの作業です。
鹿の毛でできた刷毛をもちいて染めていきます。
ピースで整えたりもします。
ムラなく均一に染める(特に濃い色)にはやはり年月が必要。
振袖の場合は模様のないところにぼかしを入れたりすることがあるので、仕立てた時にそのぼかしがあうように染めるのは難しい作業です。
刷毛はいろいろな種類があり、持ち替えての作業になります。
金彩友禅とよばれる箔、全国的にもまれな技法
「染め」の工程を経て最終工程。
金・銀箔というとすぐ落ちて、定着しないというイメージがありますが、当社では技術力で乗り越えた過去があり、実は全国的にもまれな技法といえます。
それゆえ、当社工房にてもっともアピールできる技法です。
金・銀の粉や箔(はく)をつかった技法で型友禅と同じ技法で模様の部分を仕上げることができます。
模様が金で彩られることから金彩友禅(きんさいゆうぜん)とよばれています。
また模様の部分にそって立体的にもることもでき、多彩な表現が可能です。
当社工房で最近の新作には特にこの「金彩友禅」がもちいられています。
それぞれの工程に人がいて、多くの工程を経て振袖はできるので、1人ではなく多くの職人たちの手を経た技術の結集なのです。
最後に~長い歴史と職人の技を詰め込んだ振袖を多くの方に~
ふりそでchic名の由来
英語のchic(シック)は元はフランス語chic「熟練」「技術」が語源の言葉。
「シックな着こなし」などと使われるように「粋な」「上品な」「おしゃれな」といった意味があります。
熟練した技術に裏打ちされた職人技でつくられる、ハンドメイドの振袖。
伝統的なデザインだけでなく、古くからあるものに流行も取り入れた「粋な」「上品な」「おしゃれな」デザイン。
ふりそでchicの名の由来は、創業107年の工房でつくられた「振袖」からきているんですよ。
長年の歴史と職人の技を詰め込んだふりそでchic自慢の振袖。ぜひ見学へお越しいただき、実際にご覧になってくださいね。